大瀧詠一「Debut Again」に思う

大瀧氏の没後に見つかった音源を元に発売された本作、ご本人が存命なら決して発売に同意するとは思われないアルバムだ。

「怪盗ルビイ」や「探偵物語」など、同氏のファンであれば聞きたかったカバーばかりではあるが、そもそもこれらの音源が日の目を見なかったのは、同氏の硬い意思によるものと思われる。歌唱自体、あるいはサウンドトラックに不満があるから発表してこなかったのだろう。

特に「風立ちぬ」は、30年前に行った伝説のヘッドフォンコンサートの録音から立ち上げていると思われ、本来は伝説で終わるべき音源だろうと思う。

結局できあがりに満足していないからこそこれらの音源を同氏は今まで発表しなかったのだと私は思う。それは数十年間彼の音楽を聴いてきて、彼のアルバムに対する姿勢を知るものなら自然とわかることだと私は感じる。「レコードの溝に住んでいる」と、彼は良く言っていた。その彼が本作の発売を知ったらなんと言うだろうか。

先日NHKのSONGSでも薬師丸ひろ子や鈴木雅之がこの音源と共に唄っていたが、そもそもこの音源ではコーラスを受け付けるような歌い方をしていないので、とても違和感があって終始気持ち悪かった。(特に「Tシャツに口紅」)基本的に同氏はひとり多重唱を前提とした歌い方をする人なので、この独唱トラックみたいな録り方はそもそも珍しく、発表することを考えてなかったのではと推察する。

そういった経緯から、私は本作を聞きたくないし、聞くこともないと思う。不快とまで言っては言い過ぎかもしれないが、故人の意思に対する敬意に欠けるのではないかと思う。

私はシングルカットされた「カナリア諸島にて」を、高校生の時にFMで初めて聞いて打ちのめされた程度のにわかファンであるが、にわかであってもなんだか嫌な感じのするアルバムである。

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