映画「レ・ミゼラブル」を見た

「ボーダの涙」というのを初めて体験した。

〜〜〜

映画版「レ・ミゼラブル」を見てきた。

「ああ無情」というタイトルの子供用ダイジェスト版を小学生の時に読んで書いた感想文は「ジャン・バルジャンはかわいそうだと思いました。」と言う、たったの20文字程度の短文で、オカンからはIQが低いのではないかという疑いまでかけられたのだが、それはともかく長じて高校生の時に岩波文庫の全六巻を読んで、その大変冗長ながらも人間賛歌に満ちた物語に痛く感動したのを覚えている。

その後「レ・ミゼラブル」がミュージカルになったという話を聞いたが、あのような大河ドラマをわずか数時間の舞台にすることなど不可能であろうとタカをくくっていたし、そもそもミュージカルという表現形式に違和感があったために、本日まで観劇することはなかったのだが、1990年代に「ノートルダムの鐘」というディズニー映画を見て私の心は少し変わった。「ノートルダムの鐘」というのは、ご存知ビクトル・ユーゴーの「ノートルダムのせむし男」を勝手に改変してハッピーエンドにしちゃった、例のディズニー流トンデモアニメの一種なのであるが、これが全く馬鹿にできない作りで、特にオープニングのスリリングな展開と朗唱に私は打ちのめされた。

そういうこともあったり「オペラ座の怪人」に涙したなどという同僚の話を聞くにつけ、ミュージカルというのもバカにはできないと思い始めていたのだが、今回ミュージカルを元に映画「レ・ミゼラブル」が製作され、そしてその予告編におけるアン・ハサウェイの歌声を聞くにつけてもこれは名作ではないかという予感がして劇場に足を運んだのである。

上映時間は約150分であり、今日(こんにち)の映画としては少々長い部類ではあるが、あの長編小説の映像化としては疑問符の残る時間だ。しかし私の予想は大幅に良い方に覆された。

上映開始後10分程度で司教が出てきて「友人よ、これをお忘れですぞ」と燭台を差し出したあたりから涙が止まらなくなり、そのままエンディングの民衆の歌声にいたるまで、涙と鼻水を垂れ流し続けたのである。鼻をかんだりすすったりすると迷惑なので、そのまま垂れ流すことにしたのである。

ミュージカルを原本にしているので、カットバックや回想などの映画的手法は全く使用されない。一本道のストーリーをカットを変えることはあるが、それ以上の時間超越やシーン変化は行われない。

だが脚本が超絶素晴らしい作りになっており、あの長編小説をものすごく省略して、しかも余す所なく表現して二時間半の物語にしているのである。

演者全員が非常に歌がうまく、また録音もアフレコではなく現場で行われているということでものすごい臨場感をもって観るものに迫ってくる。歌の力に歌詞を乗せて投げかけてくるために、通常の映画よりもはるかに訴求力が高く、こころを打たれたのだ。

こういうことはミュージカルを見慣れている人には一般的なことなのかも知れないが、私は経験が少なく、この映画を見て激しく心を打たれた。過去5年間に映画を見て流した涙以上の涙をこの一作で流し、「ボーダの涙」というのはこう言うことかと思い至った次第である。

どの歌も非常に良いのだが、意中の人に心が通じないエポニーヌの歌は特別に良かった。また、日本では「ウルヴァリンの人」としてしか知られていない(と思われる)ヒュー・ジャックマンの歌声のパワーは凄まじく、ぜひとも見て欲しい一作である。

物語の舞台も市民が革命を起こしたフランスの歴史をベースにしており、現代の日本人も政治に対してもっと良く考えて直接行動を起こさねばと思う内容で、そういう点でも非常に考えさせられるものがあった。
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